科目履修 DE 口頭試問

(CAUTION: まじめな内容です。俺は1日24時間の中で7〜8分だけマジメになるのです)

 ミルトン・フリードマンを知りたい。そのために来年度一年間、早稲田の経済学研究科に科目履修生として学びたいと思った。なぜフリードマンかといえば、新自由主義(neo liberalism)を知りたいと思ったからだ。なぜ新自由主義を学びたいかといえば、NHKで放送されたワーキング・プアを特集した番組を見たからだ。そして、そのワーキング・プア特集というものが直接の動機というよりは契機である。

 僕の人生の目標は何か。人類社会の幸福に資することである。そのために、徳島大学栄養学研究科、21世紀COEで『ストレス制御をめざす栄養科学』というプロジェクトも行われているその現場で研究したいと思っている。何が研究したいか。うつや社会不安障害(SAD)の症状を緩和させる食品成分の探索である。

 そのNHKの番組を見たことで、縁あってつながりのある自殺対策支援センターNPOライフリンク(http://www.lifelink.or.jp)の代表に話を聞いたときも、これまで日本の自殺対策はうつ対策などの個人要因に偏りすぎていたが、たとえば近年の多重債務問題など、社会的な要因によって個人が死に追い込まれている状況が存在する、と語っていたことを思い出した。自殺者が年3万人を超えたこの時代。まともな時代や世界であるはずがない。すべての人が向かい合わなければならない。世界は難題に満ちているということと。

 僕が、なぜうつやSADに関する研究をしたいのかといえば、そのために自ら死を選ぶような人を少しでも減らしたいからだ。しかし、自殺をする人は、うつであるからばかりではない。多重債務など経済的要因も大きな原因となっている。それならば、自分はそのことを考えるためのツールを持つべきではないのか。自殺が経済的要因と関連しているように、うつもそのために働けなくなったり経済状態が困窮したりと経済的な話と無関係ではない。また、終身雇用が崩壊しつつある現代で評価主義・能力主義の中で疲弊し、うつになる人もいるといわれている。

 狭い専門領域の中だけで事足りる時代は終わりを告げた。当然だがすべての問題はリンクしている。それぞれの問題を自分の中でリンクさせられるだけのツールがほしい。そのための今回の志望だ。もちろん、ミルトン・フリードマンを学ぶのであれば、ジョン・メイナード・ケインズも学ぶべきだし、それを言うならアダム・スミスからまずは始まるべきなんじゃないかとも思う。しかし少しずつ進んでいけばいい。

 というわけで、きょう朝10時から26号館(というか26号館と書かれてたがどうしてもわからなかったのでネットで検索したら大隈タワーのことだった)で口頭試問を受けてきた。口頭試問といっても科目履修生なんだからと思って少しナメていたのだが、会社の面接ばりにキツい突っ込みがビシバシ来るものだった。「新自由主義」や「ワーキング・プア」といった言葉がジャーナリスティックなものであるが、経済学では「本当に格差は存在するのか」といったところから始まる、といったW先生の話などは俺もその通りだと思った。経済学は現象のもっと奥にある根本の構造や原理を扱うという。

 俺は、とにかく自分の知識不足を認識しているので、基本的な経済学の本で知識をつけておきます、とアピールしておいた。W先生からは、スティグリッツをとっかかりにするのであれば、『非対称情報の経済学』などを読んでおくといい、とアドバイスいただいた。しかし素で落ちるかもしれんが。