愛とか恋とかいうけれど。

 きょう専門に行こうとして用意をしていたら不意に電話。A(仮称)からだった。というかこいつは去年の暮れに新宿での俺との約束をすっぽかして以来、ブチ切れた俺が「書写山の社僧正とキャンパスを歩きながら噛まずに10回言え」とか「キャンパス内でアイラブ○○ちゃ〜んとルパンのマネで10回言え」というミッションを課すのをどうやら忠実にこなしていたものの、「メーリスに来年の春に日本海3泊4日でキャンプに行きましょうというメールを流せ」という指令を下したところそれは普通にスルーされたので、あり得ねーこいつと思って俺の方もAからの電話もシカトしていたのだ(狭いな心)。

 久しぶりに電話を取ると、なんだか彼女と別れたといういつものような話をしてきたので、専門を早めに切り上げるから新宿で会おうと約束して俺は家を出た。そして夜、Aは新宿に30分遅れでやってきて、やっぱしあり得ねーなーこいつと思っていたのだが、別れたショックで家でエロDVDばっか見てるというそいつをその不毛な状況から救い出してやるには少々のことは多めに見てやらなければいけないと自分に言い聞かせた。ただマジで落ち込んでいるような様子だったのでとりあえず居酒屋で話を聞くことにした。

 話し始めでは別れたということをこれで良かったんだとかいろいろぐだぐだと言っていたが、日本酒が入ったあたりで俺には○○しかいないんです、なんてことを言い出したのでならなんで最初から強がるんだろうと思ったけど、それがこいつの最高にいいところでもあるので、とりあえず相手の彼女を不安にさせたことをひたすら謝ったほうがいいんじゃないかとだけ俺は言った。というか、時々こんな風に恋愛関係の悩みを打ち明けられることがあるのだけど、そんな恋愛経験なんてない俺に聞かれても正直何を言っていいか困ることでもある。けど、とりあえず話を聞くことはできる。たいていの人は自分の中でもう答えを持っているものだ。話を聞く人間は、それを引き出すだけの役割。

 正直、俺はこいつを羨ましいと思う。そこまで好きだといえる相手がいるということが羨ましい。俺はいま彼女がいるわけでもないし、気になる人はいるけど片思いまでしてるわけでもない。何となく寂しいけど、でもそれで死ぬわけでもないしと自分には言い聞かせている。けど、時々はそのことで、自分は何で生きていくんだろうだなんて極端な落ち込み方もする。誰かを好きになるという感覚は面倒なのになぜ全ての人間に備わっているのだろう、なんて哲学ぶって考えてもみたりする。誰かと思い合うことができたら幸せだろうか。片思いは幸せなんだろうか。

 ごめんなさい、俺も酔ってます。